歌の音程のテクニック一覧
ピッチ
ピッチとは、音の高さのこと。音は本来、空気の振動であり、1秒あたりで何回振動するかを「ヘルツ(Hz)」という単位で表します
この数字が大きいほど高音で、小さいほど低音となります
「基準ピッチ」とは、A4のピッチ(周波数)のことです
楽器を始めたばかりで、基準となるピッチがわからない場合は、A4=440Hzとするのが一般的です
ビブラート
ビブラート(Vibrato)とは、異なる音程間の自然な振動のこと
これは、さまざまな歌声に存在するものです
また、音楽作品の表現を強調するために、規則的に脈打つようにピッチを変化させることとも言えます
ビブラートをかけると、隣接または近接する2つの変化した音程の間で、声が素早く交互に変化します
喉頭と横隔膜の両方がこれらの振動に寄与しています
トリル
トリル(Trill)とは、互いに続く2つの音の間を素早く移動するテクニックのこと
また、ディクションの用語で、声音を持たない2つの子音を指すこともあります
SとTがその例です
フレーズのテクニック一覧
フレージング
フレージング(Phrasing)とは、音符と音符の間を止めたり、息を吹き込んだりすることです
ピリオド、セミコロン、カンマ、コロンまでを一つのフレーズとして行われます
これらの自然なフレージングとは別に、息を整えるためのフレージングも必要です
また、特定のスタイルを実現するためにも、さらなるフレージングが必要です
フレージングを向上させるには、まず、歌い始める前に楽譜にフレージングをマークしておく必要があります
そうすることで、呼吸をずらすことができます
また、ぎこちないフレージングや息切れを防ぐのにも役立ちます
メリスマ
メリスマ(melisma)はとは、1秒から2秒の間に音階を上げたり下げたりする歌唱法のこと
別名ラン(Runs)、ボーカルランとも呼ばれます
いつの時代もパワーボーカリストはメリスマの名手です
音階を上げることも、最高音から始めて最低音で終わることもできます
これは、音楽業界で最も優れたボーカルコントロールの一つです
クリスティーナ・アギレラが代表的な歌手です
リック
リック(Licks)とは、曲のスタイル的な装飾のこと
ランを実行するためのルールに厳密に従う必要はありません
しかし、シンガーの選曲次第で型にはめることができるのです
シラブル
シラブルとは「音節」を意味する言葉で、転じて音節を意識して発声をコントロールする歌のテクニックのこと
日本語の歌詞であれば「母音」と「母音+子音」の2パタンに分かれます
この音節を仕組みを理解してフレーズをコントロールすることが歌の上達につながります
歌の表現のテクニック一覧
倍音唱法
倍音唱法(Overtone Singing)とは喉から出すハーモニー歌唱のことです
肺から声帯を通り、唇に伝わる空気を共鳴させ、メロディーを奏でます
レゾナンス
レゾナンス(Resonance)とは音色と同じ音質用語
音の暖かさや丸みなどといったことについての言及のほか、倍音にフォーカスを当てて説明される場合もあります
また、音が部屋の雰囲気とどのように相互作用するかに言及することもあります
例えば、ドーム型の建物で歌う場合と箱型の大聖堂で歌う場合それぞれに合わせて歌い分ける、などです
レゾナンスは、振動を強化することを意味します
これは、喉や口、副鼻腔、鼻腔の中、またはそれを通して音色を作ることにつながります
歌のスタイルによっては、豊かで大きな響きを持つ音色が非常に好まれることがありますが、他の歌唱スタイルでは不適切に聞こえることがあります
レゾナンスは、それぞれの空間や歌唱スタイルに合わせた"音色"を目指すためのテクニックと言えるでしょう
鼻腔共鳴
鼻腔共鳴とは、鼻の奥の空間であるある「鼻腔」と呼ばれる空間を利用して声を共鳴させるテクニックのこと
通常の発声よりも音がよく響くため、温かみのある声になります
軟口蓋を引き上げ、引き上げられた部分に音を導くことで、鼻腔への共鳴が強まります
逆に軟口蓋が上がっていないと、鼻腔に響きにくくなります
ヒーカップ唱法
ヒーカップ唱法とは、歌のフレーズの最後にジャンプして音程を収束させるテクニック
曲のニュアンスを引き出すのに最適です
声域を変えずに行えるテクニックですが、厳密な決まりはありません
本来は裏声に飛び上がるテクニックですが、特に日本では完全に声を変えずにフロアやミックストーンに飛び上がるテクニックがよく使われます
ロングトーン
ロングトーンとは、声や音を安定して長時間出し続けるテクニックのこと
歌でロングトーンを使うことには、多くの利点があります
ロングトーンを習得して使うことで、声に伸びやかさが生まれ、歌に壮大な雰囲気を与えることができます
ロングトーンを自在に操れるようになると、サビなど曲を盛り上げたいところや聴衆を引き込みたいところでも声を伸ばすことができます
ディクション
ディクション(Diction)とは、言葉の構成要素を分析し、発音する方法のこと
この構成要素には、母音と子音が含まれます
ディクションは、多くの場合、クラシック歌手のための国際的な言語研究から成り立っています
カバーリング
カバーリング(Covering)とは、高音を歌うときに唇を少し丸くする発声法
特定の音色を実現させるために行います
トーン
トーン(Tone)とは、声質のことです
この声質は、喉仏から発せられる音の共鳴強化の副産物です
人はそれぞれ、固有の色彩を持つ声を携えています
音色は、暗い、暖かい、軽い、重いなどと表現されることがあります
それぞれの声には固有の音色があるため、同じ音を歌う歌手でも、互いに異なる音に聞こえることがあります
セイレーン
セイレーン(Sirens)とは、特定の音域の中で一つの声を作るために使用する発声法のことです
声の切れやひび、裏返りを滑らかにするために使用します
この発声法で作ることができる音は、サイレン音のようなものです
ポルタメント
ポルタメント(Portamento)は、直訳すると「馬車」という意味で、ある音から別の音へスライドが基本の歌唱法です
つまり、2つの異なる音程をつなげて一体化させ、より深い表現ができるようにするもの
19世紀のイタリア・オペラが盛んだったころに流行した奏法です
現代では、より感情を込めて歌うために、様々なジャンルでポルタメントが取り入れられています
声の種類(声区)のテクニック一覧
声区は主に「ファルセット」「ヘッドボイス」「ミックスボイス(ミドルボイス)」「チェストボイス」の4つに分けられます
このうち、特に重要なもの、関連するテクニックを順番に見ていきましょう
ファルセット
ファルセット(Falsetto)とは、本来の音域よりも高い音を歌うためのテクニック
ファルセットの音は、空気感のある軽やかな音です
ファルセットは、イタリア語で"偽り"を意味し、転じて"人工的な声"という意味を持ちます
というのも、男性がファルセットで歌うと、自分の話す声より上で歌っているように聞こえるからです
ヘッドボイス
ヘッドボイス(Head Voice)とは、高音域の発声のこと
副鼻腔や口、鼻腔など、頭の組織構造を中心に響く声です
ヘッドボイスの特徴は、他の声より高く、明るく、そしてより軽い音です
クラシック音楽ではカウンターテナーや女性がヘッドボイスを使用します
ホイッスルボイス
ホイッスルボイスとは、声帯の前部を分離振動させることで得られる最高音域のこと
多くの歌手が第5、第6、第7オクターブを歌うために使用し非常に高い「笛」のような音を出力する、チェストボイスやヘッドボイスよりも高い音域です
トワング
トワング(Twang)とは、鼻にかけて歌う発声法
このテクニックを使うことで、メリハリのある、それでいて力強く息の長いヘッドボイスを実現することができます
ヘッドボイスからチェストボイスに移行する際にこのテクニックを使用します
一例として、エッジボイス(ボーカルフライ)があります
エッジボイス
エッジボイスとは、声帯をひらひらさせたときに発生する、低くきしむような振動のことです
これは別名、"ボーカルフライ"として知られています
甲状軟骨傾斜
甲状軟骨傾斜(Thyroid Tilt)とは、ヘッドボイスの音域を心地よく響かせながら歌うためのテクニックのこと
歌手として習得すべき主要なテクニックの一つは、胸声と頭声をいかに正しく使うかということです
そこで、甲状軟骨傾斜を学ぶとよいでしょう
気管の前面にある甲状腺を45度に傾けると、泣き声のような音が出ます
このような音は、正しく発声できている証拠です
甲状軟骨傾斜は、声に負担をかけずに深みと彩りを強めるために重要です
チェストボイス
チェストボイスとは、声区の一つで、声帯は左右の筋肉層に振動し、声帯は低音域から中音域をカバーします
胸にしっかり響く発声法であることから、「胸声(チェストボイス)」と表現されています
声帯をたるませることでより大きな容積を振動させることができ、張りのある声を出しやすくなります
ブレーク
ブレーク(Break)とは、チェストボイスとヘッドボイスの間の急激な音色の変化のこと
発声の緊張によって起こります
正しい発声法を採用して、この音を避けることが重要です
フルボイス
フルボイス(Full Voice)とは、声帯の緊張と空気の流れのバランスが崩れることなく、大きな声で歌える音域全体のことまた、バランスの取れた響きを持つ音色のことも意味します
ミックスボイス
ミックスボイス(Mixed voice)とは、チェストボイスとヘッドボイスを混ぜる歌い方のこと
この音域はミドルボイスと呼ばれます
ミックスボイスは、音響システムの低音と高音を調整するように、声を調整して発声します
ベルティングボイス
ベルティングボイス(Belting Voice)とは、チェストボイス音域を高くし、適度以上の音量を出すこと
歌を歌うとき、通常、低音域と高音域を適切な割合でミックスします
その結果、叫ぶような響きの音を生み出すことができます
しかし、それでも、あなたは声をコントロールし、発音の持続性を保ち続けられるのです
ベルティングボイスは声区の一つだと言う人もいるでしょう
しかし、これは厳密には正しくありません
ベルティングは、自分の実存的な状態を高めるために行うことができる方法の一つです
ヨーデル
ヨーデル(Yodelling)とは、急速かつ反復的なピッチ変化を特徴とする歌唱の形態またはタイプのこと
チェストボイスとヘッドボイスを交互に出すのが特徴です
ウィスパーボイス
ウィスパーボイスとは、ささやくような声で歌や朗読、ナレーションにおける表現を行うテクニックのこと日常会話でのささやき声、地声がささやき声のような人、そのような人の声を指す場合にも用いられます
パッサッジョ
パッサッジョ(Passaggio)とは、イタリア語で"通路"を意味する声の過渡的な部分のこと
この過渡的な部分では、歌うときに特に注意する必要があります
パッサージオは、声質によって発生する場所が異なります
テッシトゥーラ
テッシトゥーラ(Tessitura)とは、ある曲の中の平均的な音程の高さのことです
イタリア語で"質感"を意味します
高音域の音が多い曲は、テッシトゥーラが高いと表現します
演奏・歌唱法のテクニック一覧
スキャット
スキャット(Scatting)とは、言葉のない"ボキャブラリー"を使ったボーカルの即興演奏のことです
このタイプのボーカルインプロビゼーションは、通常ジャズで見られます
自分の声を楽器として、リズムやメロディーを歌い、即興で演奏することが要求されます
アカペラ
アカペラ(A Capella)は楽器の伴奏を伴わない歌唱の一種です
シング・ウィズ・ノー・ミュージックと呼ばれることもあります
ソロでもグループでもアカペラで歌うことができます
無伴奏で歌うことを想定した音楽作品もあります
ベルカント
ベルカント(Canto)とは美しいベルカント音にこだわった歌い方のことです
イタリア語で"美しい歌声"を意味します
音色、フレージング、テクニック、コロラトゥーラ・パッセージに重点が置かれます
オペラでもこのスタイルで書かれたものがあり、"ベルカント"と呼ばれます
パルランド唱法
パルランド唱法(Parlando Singing)とは、作品の音程や曲調を保ちつつ、スピーチのように歌う歌唱法のこと
歌っているというより、まるで話しているように聞こえます
この歌唱法では、音を短くし、フレーズの終止符は、しばしば下方へ抑揚をつけて行われます
これは、英語の自然な話し方を真似ています
イタリアンオペラから現代のミュージカルまで、通常のメロディーだけではできない、別の表現を描くためにパルランド唱法が使われています
「マイ・フェア・レディ」でヘンリー・ヒギンズを演じたレックス・ハリスンが、その典型例です
ヴォーカリーズ
ヴォーカリーズとは、ヴォーカルを取り入れたジャズ作品のソロ演奏を鑑賞すること
ヴォーカルの語源は、もともと器楽曲や即興曲の一部であったメロディーを歌詞にしたもので、この音楽スタイルが誕生した
歌のリズムのテクニック一覧
グルーヴ
グルーヴとは、音楽において推進力のあるリズムのパターンが変化する効果として人が感じる感覚のこと
楽曲のグルーヴは、しばしば音楽のリズム感や、リズムセクションの楽器が相互に作用して複合的なリズム効果を生み出すことを指します
電子音楽制作の実用的な用語としても使われることがあります
レイドバック
レイドバック(Laid back)とは、歌い手がわざと拍の後ろか前に出て歌うというスタイル・テクニックのことです
このテクニックは、ジャズシンガーによく使われます
また、ポップス歌手もこのテクニックを使っています
カラオケでうまく歌うテクニック一覧
フェイク
フェイクとは歌で原曲の音程やリズムを変えることを意味する歌唱法のこと
本来の「偽物」「模造品」という意味に由来しています
適当に変えてしまうと音程が狂ってしまうので、ある程度音楽のルールの中で変化をつけることが必要です
そうすることで、自分の感情を表現した歌を歌うことができます
こぶし
こぶしとは、うなるように歌ったり、素早く音を上下させる歌唱法のこと
楽譜では表現できない小さな表現であるため、「小節(こぶし)」と表記されます
こぶしは、「母音を素早く上下させる」ことでアンジュレーションを表現します
こぶしはビブラートと同じく、語尾の音を揺らしますが、最初の母音と次の母音の音程に変化をつけることによって歌にアクセントを生み出します
がなり声
がなり声は「唸り声」とも呼ばれ、叫び声のような発声のこと
その名前は、大きな声や怒鳴るような声のように、ガタガタと音を立てることに由来しています
がなり声の正しい発声方法を身につけることで、歌のテクニックが向上し、より自信に満ちた歌手になることができます
しゃくり
しゃくりとは、低い音を出してから元の音に戻すテクニックのこと
低い音から元の音に移るとき、ゆっくり徐々にではなく、素早くスムーズにつなげると、きれいなしゃくりを出すことができます
しゃくりがあると音が滑らかになりますが、意識せずに何度もしゃくりをしてしまうと、音の高さがつかめなくなることがあるので、きちんと音程がとれるようになってからしゃくりを使用することが肝要です
フォール
フォールとは発声の後に原音よりも低いピッチに滑り落とし、歌声に表情をつける歌唱法のこと
「落ちる」という意味の英単語から転じて生まれました
フレーズの最後によく用いられる歌唱テクニックです
ボイトレのやり方
リップロール(リップトリル)
リップロールとは、唇を完全に閉じ、素早く急速に空気を送り込む動作のこと
リップロールは「リップトリル」「リップバブル」とも呼ばれます
ボーカリストやシンガーは通常、適切なウォームアップとしてリップロールに音を加えます
声帯と口が適切に連携し、健康的な声を作ることができます
タングトリル
タングトリルとは、丸めた舌先を前歯の裏側の軟口蓋に当て、息とともに舌全体を揺らすエクササイズのこと
特に息の効果的な使い方や、リラックスする方法を取得する為に効果的です
タングトリルを日常的に行うかどうかで、その後の発声練習に大きな差が現れます
腹式呼吸
腹式呼吸は、主に肺の下部で呼吸する方法のこと
肺の下部は横隔膜の近くにあるため、息を吸うときは横隔膜が押し下げられ、息を吐くときは押し上げられます
腹式呼吸では、息を吸ったり吐いたりするときに肩が上がったり下がったりせず、お腹と背中が膨らむのを感じることができます
サステイン
サステイン(Sustaining)とは横隔膜を中心に腹筋を緊張させ、音を出すときに空気の流れをコントロールする呼吸法の一種です
特定のフレーズに一貫性を持たせることができます
音楽の種類によっては必須のテクニックです
しかし、クラシックのジャンル以外では見落とされがちです
配置
配置(Placement)とはよく響く健康的な音を得るために行うテクニックのこと
頭の振動の感覚を利用することで、完璧な配置を得ることができるのです
歯や唇の後ろ、頬骨、時には額や鼻に振動を与えながら取り組むと、適切な配置を得ることができます
出せる音はふくよかです
細かったり、鼻にかかったりすることはありません