曲の構成とは|意味と基本の考え方

曲の構成とは、1曲をいくつかのパート(セクション)に分け、それをどんな順番で並べるかを示した「曲の設計図」のことです。J-POPなら「イントロ → Aメロ → Bメロ → サビ」という並びを耳にしたことがある人も多いでしょう。音楽の専門用語では「楽曲構成」「楽式」「形式」とも呼ばれます。

なお、SNSで見かける「私を構成する10曲」のような企画は、自分に影響を与えた好きな曲を挙げる遊びで、この記事で解説する曲の構成(楽曲の中身の組み立て)とは別の意味です。

曲の構成を理解するための基本の考え方

曲の構成について考えるとき、基本になるのは「同じものを繰り返し、違うもので変化をつける」という考え方です。人は一度聴いたメロディが戻ってくると安心し、新しいメロディが来ると引き込まれます。多くのヒット曲は、この「反復」と「対比」のバランスで作られています。

  • 反復:サビを2〜3回繰り返し、耳に残るようにする
  • 対比:Aメロは落ち着かせ、サビで盛り上げるなど、パートごとに役割を変える
  • 展開:後半にCメロや転調を入れ、最後まで飽きさせない

一般的なポップスは3〜5分ほどで、この中に「1番」「2番」「後半(Cメロ・ラスサビ)」という大きなまとまりがあり、その中にAメロ・Bメロ・サビといった小さなパートが入っています。

曲の構成はパートを時間順に並べた設計図 1番 イントロ Aメロ Bメロ サビ 2番 間奏 Aメロ Bメロ サビ 後半 Cメロ ラスサビ アウトロ 時間は左上から右下へ流れる(J-POPの一例)
J-POPの典型的な構成。1番・2番で同じ並びを繰り返し、後半のCメロとラスサビで変化をつける

曲を構成する要素(メロディ・コード・リズム・歌詞)

「曲の構成要素」という言葉は、2つの意味で使われます。1つはここまで見てきたAメロやサビなどのパート(時間の区切り)、もう1つは曲を形づくる音楽の要素です。音楽の要素としては、一般的に次のものが挙げられます。

要素内容構成との関係
メロディ(旋律)歌や主旋律の音の高低の流れAメロ・Bメロなどの「メロ」はメロディの略
コード(和音)・コード進行伴奏の和音と、その並び方パートが変わるとコード進行も変わることが多い
リズム・ビート音の長さや拍の刻み方、テンポサビでドラムが増える、間奏でリズムが変わるなど
歌詞歌の言葉Aメロで状況、サビで一番伝えたいことを歌うのが定番
楽器・音色(編成)どの楽器がどんな音で鳴るかイントロはギターだけ、サビで全楽器が鳴るなど

つまり、パートの区切りは「メロディ・コード進行・リズム・歌詞・楽器の組み合わせが切り替わる場所」だと言い換えられます。曲の構成を聴き分けられるようになると、作曲ではパートごとに何を変えればよいかがわかり、歌うときにはどこで表情を変えればよいかがわかるようになります。

パートの区切り方や呼び方はジャンルや国によって異なり、日本ではAメロ・Bメロ・サビ、洋楽ではヴァース・コーラスという用語を使うのが一般的です。次の章から、それぞれの名前と役割を順に解説します。

曲の構成パートの名前・用語一覧|日本語と英語の呼び方

曲の構成の各部分には名前(名称)があります。日本の音楽の現場で使う呼び方と、英語圏で使う呼び方は1対1で対応するとは限らないため、ここでは日本語と英語の用語を表で整理します。

基本パートの名称と英語の対応表

日本での呼び方英語での呼び方意味・役割
イントロ(前奏)Intro歌が始まる前の導入部分
AメロVerse(ヴァース/バース)歌い出し。物語や状況を語る落ち着いた部分
BメロPre-Chorus(プレコーラス)Aメロとサビをつなぎ、盛り上がりを準備する部分
サビChorus(コーラス)/Refrain曲の中心で、一番盛り上がる印象的な部分
Cメロ(大サビ前の別メロ)Bridge(ブリッジ)/Middle 8後半に一度だけ出る、雰囲気の違う部分
間奏Interlude/Instrumental歌の入らない楽器だけの部分。ソロ(Solo)が入ることも
アウトロ(後奏)Outro/Ending/Coda歌が終わったあとの、曲の締めくくりの部分

英語で曲の構成を説明するときは「Intro – Verse – Pre-Chorus – Chorus – Bridge – Chorus – Outro」のように書きます。英語圏の楽譜やDAWのマーカー、海外の作曲講座ではこちらの用語で呼ばれるので、両方の言い方を覚えておくと便利です。「Verse」はカタカナでヴァースともバースとも表記されます。

よく質問される「アウトロとは」についても補足すると、アウトロは最後のサビのあとに続く楽器だけの部分や、フェードアウトしていく部分のことで、イントロと対になる曲の出口です。

日本の呼び方と英語の呼び方の対応 日本での呼び方 英語での呼び方 イントロ Intro Aメロ Verse Bメロ Pre-Chorus サビ Chorus Cメロ Bridge アウトロ Outro
Aメロ=ヴァース、Bメロ=プレコーラス、サビ=コーラス、Cメロ=ブリッジと対応させるのが一般的

ブリッジ・コーラス・フックの意味と注意点

日本語と英語で混乱しやすいのが「ブリッジ」「コーラス」「フック」の3つです。

ブリッジとは
英語のBridge(ブリッジ)は、2回目のサビのあとに入る、それまでと違うメロディの部分を指し、日本でいうCメロにあたります。ただし日本では、AメロとサビをつなぐBメロのことをブリッジと呼ぶ人もいるため、会話では「どこの部分か」を確認するのが確実です。詳しくはブリッジの解説を参照してください。
コーラスとは
英語のChorus(コーラス)はサビのことです。日本語で「コーラス」というと、メインボーカルの後ろで歌うハモリ(バックコーラス)や合唱を指すことが多いので、文脈で区別します。詳しくはサビ(コーラス)の解説へ。
フックとは
Hook(フック)は、聴き手の耳を「引っかける」印象的なフレーズのこと。ヒップホップでは、ラップのヴァースの合間に入る歌やキャッチーな繰り返しをフックと呼び、サビとほぼ同じ意味で使われます。

そのほかの構成用語一覧(言い換え・種類)

基本パート以外にも、曲の構成を説明するときによく使う用語があります。同じ部分に複数の言い方があるものは、言い換えとしてまとめました。

用語意味
落ちサビ伴奏を減らし、静かに歌うサビ。ラスサビの直前に置かれることが多い
大サビ・ラスサビ曲の最後に来るサビ。英語ではFinal Chorus(ファイナルコーラス)/Last Chorus
サビ前サビ直前の数小節。ブレイクや「溜め」を入れて期待感を高める場所
DメロCメロのあとにさらに別のメロディが来る場合の呼び方。長い曲やアニソンで見られる
ブレイク(Break)演奏を一瞬止めたり、楽器を減らしたりする部分
ソロ(Solo)間奏などで、ギターやピアノなど1つの楽器が主役になる部分
ドロップ(Drop)EDMなどで、盛り上げたあとに一気にビートが落ちてくる曲の山場
リフレイン(Refrain)繰り返し出てくる歌詞やメロディ。サビの意味で使われることもある

各パートの役割は次の章で詳しく解説します。イントロ・ヴァース・プレコーラス・アウトロには、それぞれ個別の解説記事もあります。

Aメロ・Bメロ・Cメロ・サビの役割と違い

日本のポップスでは、歌のメロディをAメロ・Bメロ・サビと呼び分けます。「メロ」はメロディの略で、アルファベットは登場する順番を表しています。それぞれのパートには、曲全体を盛り上げるための役割分担があります。

Aメロとは|歌い出しで物語を始める部分

Aメロは、イントロのあとに最初に出てくる歌のメロディです。音域は低め〜中くらいで、リズムも落ち着いていることが多く、歌詞では情景や状況、登場人物の気持ちを語り始めます。サビより抑えめに作ることで、あとから来るサビが際立ちます。1番と2番で同じメロディに別の歌詞を乗せるのが一般的です。

Bメロとは|サビへの橋渡しをする部分

Bメロは、Aメロとサビの間にある「つなぎ」のメロディです。コード進行や音の高さを少しずつ上げたり、逆に一度抑えて溜めを作ったりして、サビへの期待感を高めます。AメロとBメロの違いは「語り」と「盛り上がりの準備」だと考えるとわかりやすいでしょう。

ただし、Bメロなしの曲も珍しくありません。Aメロから直接サビに入る構成は、テンポが速くシンプルな曲や、洋楽の影響が強いロック・ダンス曲によく見られます。反対に、Bメロの後半をさらに分けて「B'(ビーダッシュ)」と呼ぶこともあります。

サビとは|曲の中心になる一番の盛り上がり

サビは曲の中で一番印象に残る部分で、タイトルになるフレーズや、歌詞で一番伝えたいことが置かれます。音域が高く、伴奏の楽器も増えて音圧が上がるのが一般的です。サビのメロディは何度も繰り返されるので、覚えやすさが重視されます。

サビの後は、間奏をはさんで2番のAメロに戻るか、曲の後半であればCメロやアウトロへ進みます。サビのさらに詳しい作り方はサビ(コーラス)の解説を参照してください。

Cメロ・Dメロとは|後半に変化をつける部分

Cメロとは、2番のサビのあとに一度だけ登場する、AメロともBメロともサビとも違うメロディのことです。ここまでの繰り返しに変化をつけ、最後のサビ(大サビ・ラスサビ)に向けて気持ちを切り替える役割があります。英語ではブリッジと呼ばれます。Cメロのあとにさらに別のメロディを置く場合はDメロと呼びます。

落ちサビ・大サビ・ラスサビ|最後のサビの演出

落ちサビは、伴奏を減らしてボーカルを目立たせる静かなサビです。ラスサビ前(最後のサビの直前)に置かれることが多く、一度音量を下げてから全楽器で最後のサビに入ることで、最大の盛り上がりが生まれます。大サビ・ラスサビは最後に来るサビのことで、サビを2回繰り返したり、半音〜1音上げる転調をしたりして、1番・2番のサビよりも強く演出されます。

パートごとの盛り上がりの高さの変化 盛り上がり AメロBメロサビ間奏Cメロ落ちサビラスサビ
Aメロで抑え、Bメロで上げてサビで頂点へ。後半は落ちサビで一度下げてからラスサビで最大の山を作る

このように、各パートは単独で完結するのではなく、「抑える → 上げる → 頂点 → 変化 → 最大の頂点」という流れの中で役割を持っています。パートの名前を覚えるときは、曲全体の盛り上がりのどこを担当しているかをセットで覚えると理解しやすくなります。

曲の構成パターン一覧|J-POPの王道とよくある例

AメロとかBメロとかの名前がわかったら、次はそれを並べる順番=構成パターンです。ここでは日本のポップス(J-POP。JPOPと表記されることもあります)や邦楽でよく使われる構成パターンを、例とあわせて一覧にします。

王道パターン|1番・2番・Cメロ・ラスサビ

日本のヒット曲で最も一般的なのが、次の王道パターンです。

イントロ → Aメロ → Bメロ → サビ → 間奏 → Aメロ → Bメロ → サビ → Cメロ → ラスサビ → アウトロ

「Aメロ → Bメロ → サビ」のひとまとまりを1番、間奏のあとに同じ並びを繰り返す部分を2番と呼びます。2番では歌詞だけを変え、Aメロを短くしたり、Bメロを省いてすぐサビに入ったりして、1番と同じ長さの繰り返しにならないよう工夫されることが多いです。最後はCメロで変化をつけ、ラスサビで締めくくります。

J-POPの王道パターンの流れ 1番A→B→サビ 間奏 2番A→B→サビ Cメロ ラスサビ 前後にイントロとアウトロが付く
1番と2番で同じ並びを繰り返し、Cメロで変化をつけてからラスサビで締めるのが王道

よく使われる構成パターンと例

王道パターン以外にも、曲の印象を大きく変える構成パターンがあります。

パターン並び方の例特徴
サビ始まり(頭サビ)サビ → イントロ → A → B → サビ…最初にサビを聴かせて一瞬で心をつかむ。イントロの代わりにサビから始まる曲も多い
イントロなしA → B → サビ…いきなり歌から入る。短い時間で印象を残したい曲向き
BメロなしA → サビ → A → サビ…シンプルでテンポよく進む。スピッツ「チェリー」はBメロのない構成として知られる
Cメロなし1番 → 2番 → ラスサビ後半を短くまとめる。短い曲やアップテンポの曲に多い
落ちサビあり… → Cメロ → 落ちサビ → ラスサビ静と動の差で最後の盛り上がりを大きくする
1コーラスのみイントロ → A → B → サビ → アウトロCMソングやショート動画向けの短い曲

最初にサビを置く「サビから始まる曲」は、イントロ サビ(イントロのすぐ後にサビ)や、サビがイントロを兼ねる形もあります。反対にAメロ イントロ(Aメロのメロディを楽器で弾いてイントロにする)という作り方もあり、イントロの作り方はイントロの解説で詳しく紹介しています。

AB・ABC・ABAで表す構成の書き方

音楽の世界では、パートをアルファベットで表して構成を記号化することがあります。同じアルファベットは同じメロディ、違うアルファベットは違うメロディを意味します。

  • AB:2つの部分からなる形(二部形式)。童謡や短い歌に多い
  • ABA:Aのあとに対照的なBをはさみ、最後にAに戻る形(三部形式)。クラシックでも基本となる形
  • ABC:A・B・Cと違うメロディが順に出てくる形。J-POPのAメロ→Bメロ→サビもこれにあたる

J-POPの「Aメロ・Bメロ」の名前もこの考え方から来ていて、サビをCと書いて「ABC」と表すこともあります。この場合のCはサビのことで、後半のCメロとは意味が違うので注意しましょう。

ヒット曲・流行りの曲に見られる構成の傾向

近年の流行りの曲には、短い時間で印象を残す工夫が目立ちます。ストリーミングやショート動画で最初の数秒で聴くかどうかが判断されるため、イントロを短くしたりサビ始まりにしたりする曲が増え、曲全体も3分前後と短い傾向があるとよく指摘されます。

一方で、最後のサビで転調する、落ちサビで静かにしてから盛り上げるといった「最後まで聴かせる」演出は今も定番です。日本のポップスは洋楽に比べてBメロとCメロを持つ曲が多く、1曲の中で展開が多いのが特徴だと言われます。

曲の構成と小節数|各パートは何小節?長さの目安

曲の構成を考えるときに欠かせないのが小節数です。小節とは、楽譜を一定の拍数ごとに区切った単位のこと。ポップスの多くは4分の4拍子(1小節に4拍)で書かれていて、パートの長さは「何小節か」で数えます。

ポップスは4小節・8小節単位が基本

ポップスでは、4小節を1フレーズとして、8小節・16小節とまとまりを作るのが基本です。人は4小節や8小節の区切りに自然さを感じやすく、多くの曲がこの単位で作られています。各パートの小節数の目安は次のとおりです。

パート小節数の目安メモ
イントロ4〜8小節短い曲では2小節やイントロなしも
Aメロ8〜16小節8小節を2回繰り返す形が多い
Bメロ4〜8小節サビへつなぐため短めが多い
サビ8〜16小節ラスサビは繰り返して倍の長さにすることも
間奏4〜8小節ギターソロを入れるときは長めになる
Cメロ4〜8小節後半の変化として短く入れる
アウトロ4〜8小節フェードアウトや一発止めで終わる
パートごとの小節数の目安の幅 04816小節 イントロAメロBメロサビ
イントロとBメロは4〜8小節、Aメロとサビは8〜16小節が目安。4小節単位で長さを決める

曲の長さと小節数の計算方法

曲の長さはテンポ(BPM=1分間の拍数)と小節数で決まります。4分の4拍子の場合、1小節の長さは「60 ÷ BPM × 4」秒です。

  • BPM120の曲:1小節=2秒。8小節=16秒、100小節で約3分20秒
  • BPM90の曲:1小節=約2.7秒。8小節=約21秒
  • BPM150の曲:1小節=1.6秒。8小節=12.8秒

たとえばBPM120で王道パターンを組むと、イントロ8+(A16+B8+サビ16)×2+間奏8+C8+ラスサビ16+アウトロ8で合計128小節、約4分16秒になります。短い曲にしたいときは、2番のAメロを半分にする、Cメロを省く、イントロを4小節にするなどして小節数を減らします。

小節数を変えて変化をつけるコツ

8小節単位は安定感がある反面、すべてを8小節にすると単調に聞こえることもあります。あえてBメロを6小節にしてサビに早く入ったり、サビの最後に2小節足して余韻を作ったりすると、聴き手の予想を少し外して印象を強められます。何小節にするか迷ったら、まず4・8・16小節で組み立て、そのあとで「ここは短く」「ここは長く」と調整するのがおすすめです。

洋楽の曲の構成|ヴァース・コーラス形式とAABA形式

洋楽では、日本のAメロ・Bメロ・サビという呼び方ではなく、ヴァース(Verse)・コーラス(Chorus)・ブリッジ(Bridge)という単位で曲の構成を考えます。代表的な形は「ヴァース・コーラス形式」と「AABA形式」の2つです。

ヴァース・コーラス形式|現代の洋楽ポップス・ロックの基本

現在の洋楽ポップスやロックで最も多いのが、ヴァースとコーラスを交互に繰り返すヴァース・コーラス形式です。

Intro → Verse → (Pre-Chorus) → Chorus → Verse → (Pre-Chorus) → Chorus → Bridge → Chorus → Outro

日本の王道パターンとよく似ていますが、プレコーラス(Bメロ)を持たずにヴァースから直接コーラスへ行く曲が多いこと、ヴァースごとに歌詞が進んで物語が展開することが特徴です。ロックバンドの曲では、ブリッジの位置にギターソロを入れることもよくあります。

AABA形式|ジャズのスタンダードや初期のビートルズ

AABA形式は、同じメロディのAを2回、対照的なB(ブリッジ)を1回、最後にもう一度Aを歌う形です。各部分が8小節ずつで合計32小節になることが多く、「32小節形式」とも呼ばれます。20世紀前半のアメリカのポピュラーソングで広く使われ、ジャズのスタンダード曲の多くがこの形式で書かれています。

ビートルズの初期の曲にもAABA形式のものが多く、そこから次第にヴァース・コーラス形式の曲へと移っていったと言われます。AABA形式では、日本のサビにあたる「一番盛り上がる繰り返し」ははっきりせず、Aの最後に置かれたタイトルのフレーズが曲の印象を決めます。

ヴァース・コーラス形式とAABA形式の並び ヴァース・コーラス形式 Verse Chorus Verse Chorus Bridge AABA形式(32小節) A A B A 各8小節。Bがブリッジにあたる
ヴァース・コーラス形式は歌の山場(コーラス)を繰り返し、AABA形式は同じメロディAに対照的なBをはさむ

12小節のブルース形式

ロックやジャズのルーツであるブルースには、12小節を1単位として同じコード進行を繰り返す「12小節ブルース」という形式があります。歌詞は「同じ一行を2回歌い、3行目で答える」形が伝統的で、ロックンロールの初期の曲にもこの形式が多く使われました。

サビのない洋楽の例|ボヘミアン・ラプソディ

洋楽には、決まった形式に当てはまらない曲もあります。代表例がクイーンの「ボヘミアン・ラプソディ(Bohemian Rhapsody)」です。この曲には繰り返されるコーラス(サビ)がなく、アカペラのイントロ → バラード → ギターソロ → オペラ風のパート → ハードロック → 静かなアウトロと、まったく性格の違うパートがつながる組曲のような構成になっています。「ボヘミアンラプソディの構成」が話題になるのは、ヒット曲の定石から大きく外れているからです。

バラードでは、テンポがゆっくりなぶん1曲に入るパートの数が少なく、ヴァースとコーラスを2回ずつ歌ってブリッジと最後のコーラスで終わる、シンプルな構成が多く見られます。

ダンス系の曲の構成|EDM・ハウス・ヒップホップ・ラップ・K-POP

ダンスミュージックは、歌メロディよりもビートとエネルギーの上げ下げで曲の構成を組み立てます。クラブで踊ることやDJがつなぐことを前提にしているため、J-POPとは違う用語や考え方が使われます。

EDMの構成|ビルドアップとドロップ

EDM(エレクトロニック・ダンス・ミュージック)の曲の構成は、次のような流れが基本です。

イントロ → ブレイク(ヴァース) → ビルドアップ → ドロップ → ブレイク → ビルドアップ → ドロップ → アウトロ

  • ビルドアップ(Build-up):スネアの連打や上昇する音で緊張を高め、盛り上がりを予告する部分
  • ドロップ(Drop):溜めたエネルギーを一気に解放する曲の山場。歌ではなくシンセのリフやベースが主役になることが多く、J-POPのサビにあたる
  • ブレイク(Break/ブレイクダウン):キックを抜いてビートを休ませ、歌やメロディを聴かせる部分
EDMはビルドアップで溜めてドロップで解放する エネルギー イントロビルドドロップブレイクドロップアウトロ
ビルドアップでエネルギーを上げ、ドロップで一気に解放。ブレイクで一度休ませてから2回目のドロップへ

ハウス・テクノの構成|DJがつなぎやすい形

ハウスやテクノは、一定のテンポの4つ打ち(1小節にキックを4回)の上に、8小節・16小節・32小節の単位で音を足したり抜いたりして展開します。はっきりしたAメロやサビがない曲も多く、同じフレーズが少しずつ変化しながら続くのが特徴です。

DJ向けの曲では、前後の曲とつなぎやすいように、イントロとアウトロにビートだけの部分を16〜32小節ほど長めにとるのが一般的です。ダンスミュージックの配信で「Extended Mix」「Club Mix」と呼ばれるものは、このDJ用に長くした版です。

ヒップホップ・ラップの構成|ヴァースとフック

ヒップホップ(hiphop)の曲では、ラップをする部分をヴァース、歌やキャッチーな繰り返しの部分をフック(サビ)と呼びます。

イントロ → ヴァース1 → フック → ヴァース2 → フック → (ブリッジ) → ヴァース3 → フック → アウトロ

ラップのヴァースは16小節、フックは8小節が1つの目安とされます。ヴァースごとに別のラッパーが担当する「客演(フィーチャリング)」もよくある形で、ヴァースの数が曲の長さを決めます。メロディより言葉数とリズムの気持ちよさ(フロー)が重視されるため、コード進行は同じループを繰り返し、ビートの抜き差しで展開をつけるのが一般的です。

レゲエもヴァースとコーラスを交互に繰り返す形が基本ですが、裏拍を強調する独特のリズムの上で、DJ(ディージェイ)と呼ばれるラップに近い歌唱が入る曲もあります。

K-POPの構成|ラップパート・ダンスブレイク・ポストコーラス

K-POP(kpop)は、洋楽のヴァース・コーラス形式をベースに、J-POPのような展開の多さと、グループならではの要素を組み合わせた構成が特徴です。

  • ラップパート:ヴァースの一部や2番の前半をラップ担当のメンバーが歌う
  • ポストコーラス:サビのあとに、短いフレーズを繰り返す「もう一つのフック」を置く。ダンスの見せ場と重なることが多い
  • ダンスブレイク:歌をいったん止めて、ダンスを見せるための間奏を入れる

メンバーごとに歌うパートを割り振るため、1曲の中で声や雰囲気が次々に切り替わり、それが構成上の変化にもなっています。

ボカロ・アニソン・演歌・ジャズなどジャンル別の構成

曲の構成パターンはジャンルによって大きく異なります。ここでは、ポップスやダンス系以外の代表的なジャンルについて、構成の特徴を紹介します。

ボカロ曲・アニソンの構成|展開の多さとTVサイズ

ボカロ曲(ボーカロイド曲)は、人間の息継ぎや音域の制約を受けにくいため、速いテンポ、細かい音符、広い音域、目まぐるしい展開を持つパターンが多く見られます。イントロや間奏で楽器が主役になる時間が長い、2番以降で1番と違う展開をする、Cメロのあとにさらに別のパートが来るなど、王道パターンを崩した構成もよく使われます。

アニメの主題歌(アニソン)は、テレビ放送で流れる約89秒(1分30秒弱)の「TVサイズ」と、CDや配信で聴ける「フルサイズ」の2つの構成を持つのが特徴です。TVサイズは短いイントロから1番を歌い、サビを少し延ばして締めるのが定番で、フルサイズでは2番・Cメロ・ラスサビが加わります。

アニソンのTVサイズとフルサイズの違い TVサイズ(約89秒) 前奏 1番(A→B→サビ) 後奏 フルサイズ(4分前後) 前奏 1番 2番 C ラスサビ
TVサイズは1番だけを聴かせる短い構成。フルサイズでは2番・Cメロ・ラスサビが加わる

音ゲー(リズムゲーム)向けの楽曲も、プレイ時間に合わせて2分前後に短く編集した「ゲームサイズ」で収録されることが多く、1番とラスサビだけをつなぐなど、フルサイズとは違う構成になります。

演歌・歌謡曲の構成|1番・2番・3番の有節形式

演歌や昭和の歌謡曲では、同じメロディに違う歌詞を乗せて1番・2番・3番と繰り返す「有節形式」が基本です。Cメロのような後半の新しいメロディはほとんど使わず、代わりに間奏で尺八・ギター・ストリングスなどの印象的なフレーズを聴かせます。

演歌では、イントロで楽器がサビのメロディを予告し、各番の最後にタイトルを含む決めのフレーズを置くのが定番です。最後の番のサビを繰り返したり、転調で盛り上げたりして締めくくります。

ジャズの構成|テーマ→ソロ→テーマ

ジャズ、とくにスタンダード曲の演奏では「テーマ(ヘッド)を演奏 → 各楽器が順にアドリブソロ → 最後にもう一度テーマ」という構成が基本です。ジャズでは曲の形式(たとえば32小節のAABA)を1周することを「1コーラス」と呼び、ソロを何コーラス続けるかはその場で決まります。ポップスの「コーラス=サビ」とは意味が違うので注意しましょう。

ミュージカル・フラメンコの構成

ミュージカルの曲は、物語を進めるための構成がとられます。幕開けに序曲(オーバーチュア)で劇中の曲のメロディを次々に紹介し、劇中では登場人物の心情が変わる場面に合わせて曲が展開します。前に歌われた曲のメロディを後の場面で歌詞を変えて再び使う「リプライズ」も、ミュージカルならではの構成です。

スペインのフラメンコは、歌(カンテ)・ギター(トケ)・踊り(バイレ)の3つで成り立ち、「コンパス」と呼ばれる決まった拍の周期(ソレアやブレリアなら12拍)の上で進みます。歌の一節を「レトラ」、その合間にギターが弾く旋律のフレーズを「ファルセータ」と呼び、レトラとファルセータを交互に重ねながら、手拍子(パルマ)とともに即興的に展開していきます。

クラシック・吹奏楽の曲の構成|形式と楽章

クラシック音楽では、曲の構成を「形式(楽式)」と呼び、何百年もかけて整理されてきた型があります。ポップスのAメロ・サビに比べると抽象的ですが、「主題(テーマ)をどう繰り返し、どう変化させるか」という考え方は共通しています。

クラシックの代表的な形式パターン

形式構成特徴
二部形式A → B前半と後半の2部分。童謡や舞曲に多い
三部形式A → B → A対照的な中間部Bをはさんで最初に戻る。小品の基本形
ロンド形式A → B → A → C → A…主題Aが別のエピソードをはさみながら何度も戻ってくる
ソナタ形式提示部 → 展開部 → 再現部(→ コーダ)2つの主題を提示し、展開して再び示す。交響曲や協奏曲の第1楽章に多い
変奏曲主題 → 第1変奏 → 第2変奏…1つの主題のリズムや和声、雰囲気を少しずつ変えて繰り返す
フーガ主題を複数の声部が追いかけるバッハに代表される、主題が次々に重なる対位法の形式

三部形式は、ポップスで言えば「サビ → 違う雰囲気のCメロ → 再びサビ」に近い考え方です。ソナタ形式では、提示部で性格の異なる第1主題と第2主題を示し、展開部でそれらを分解・転調しながら発展させ、再現部で2つの主題を主調で再び示します。

ソナタ形式は提示・展開・再現の3部分 提示部 展開部 再現部 第1主題第2主題主題を分解転調して発展第1主題第2主題(主調で) 前に序奏、後にコーダ(終結部)が付くことも
ソナタ形式は2つの主題を示す提示部、発展させる展開部、再び示す再現部の3部分からなる

楽章構成|交響曲・弦楽四重奏・ピアノソナタ

クラシックの大きな作品は、いくつかの独立した曲(楽章)で構成されます。古典派の交響曲や弦楽四重奏曲は「速い第1楽章(ソナタ形式) → ゆっくりした第2楽章 → メヌエットまたはスケルツォの第3楽章 → 速い終楽章」という4楽章構成が典型で、ピアノソナタは3楽章構成が多く見られます。オーケストラの曲の構成を考えるときは、この楽章の並びと、弦楽器・木管楽器・金管楽器・打楽器という楽器の編成の両方を見ると全体像がつかめます。

ミサ曲・合唱曲の構成

ミサ曲は、カトリックの典礼で毎回唱えられる文(通常文)に曲をつけたもので、キリエ(あわれみの賛歌)→ グローリア(栄光の賛歌)→ クレド(信仰宣言)→ サンクトゥス(感謝の賛歌、ベネディクトゥスを含む)→ アニュス・デイ(平和の賛歌)の5つの部分で構成されるのが基本です。

合唱曲の構成というと、声部の組み合わせを指すこともあります。ソプラノ・アルト・テノール・バスの混声四部、学校の合唱でよく使われるソプラノ・アルト・男声の混声3部合唱、女声3部合唱などがあり、複数の曲をまとめた「合唱組曲」という形もあります。

吹奏楽・マーチ(行進曲)の構成

マーチ(行進曲)は、行進しながら演奏しやすいよう、はっきりした区切りを持つ構成が特徴です。一般的には「序奏 → 第1マーチ → 第2マーチ → トリオ(中間部) → トリオの再現やコーダ」という流れで、トリオでは調が変わり(多くは下属調)、それまでより穏やかなメロディになります。トリオのあとに冒頭へ戻って終わる形もあります。

吹奏楽のオリジナル曲では、速い部分 → ゆっくりした部分 → 速い部分という「急・緩・急」の3部構成がよく使われます。コンクールの自由曲でもこの形は定番で、中間部で木管のソロなどを聴かせ、最後に全員で盛り上げて終わります。マーチングのショーも、複数の曲をつないで一つのショーを構成し、「オープナー → バラード → クローザー」のように速い曲・遅い曲・締めの曲を並べることが多いです。

有名なクラシック曲・行進曲の構成一覧

授業や演奏会、運動会などで耳にする有名曲の構成を一覧にまとめました。前の章の形式と照らし合わせながら聴くと、曲の組み立てがよくわかります。

クラシックの名曲の構成

曲名(作曲者)曲の構成の特徴
ボレロ(ラヴェル)小太鼓が最初から最後まで同じリズムを刻み、2つのメロディを楽器を替えながら交互に繰り返す。少しずつ楽器が増えて音量が上がり、終盤で一度だけ転調して一気に終わる
ブルタバ/モルダウ(スメタナ)連作交響詩『わが祖国』の第2曲。2つの水源から流れ出た川が、森の狩り、村の婚礼、月光の水の精、急流を経て大河となり、プラハの古城ヴィシェフラドを過ぎていく様子を順に描く
くるみ割り人形(チャイコフスキー)2幕のバレエ音楽。演奏会用の組曲は小序曲・行進曲・金平糖の精の踊り・ロシアの踊り(トレパーク)・アラビアの踊り・中国の踊り・葦笛の踊り・花のワルツの8曲で構成される
幻想即興曲(ショパン)速く激しい嬰ハ短調の部分 → ゆったり歌う変ニ長調の中間部 → 再び速い部分 → 中間部の旋律を回想するコーダ、という三部形式
ゴルトベルク変奏曲(バッハ)冒頭のアリアのあとに30の変奏が続き、最後に再びアリアが戻る。3つおきの変奏がカノン(追いかけっこの形)になっている
トルコ行進曲(モーツァルト)ピアノソナタ第11番の第3楽章で、「トルコ風に」と題されたロンド形式。イ短調の主題を中心に展開し、最後はイ長調で華やかに終わる
木星(ホルスト)組曲『惑星』の第4曲。快活な両端部分にはさまれた中間部の堂々とした旋律は、のちに賛美歌になり、日本では平原綾香の「Jupiter」でも知られる
天国と地獄(オッフェンバック)オペレッタの序曲。いくつかの場面の音楽をつないだ構成で、最後の速いギャロップ(カンカン)の部分が運動会の定番曲として有名

マタイ受難曲・ヨハネ受難曲の構成

バッハの「マタイ受難曲」と「ヨハネ受難曲」は、新約聖書に書かれたイエスの受難の物語を音楽で描いた大作で、どちらも第1部・第2部の2部構成です。物語は福音史家(エヴァンゲリスト)がレチタティーヴォ(語るような歌)で進め、そこに次の3種類の曲が組み込まれています。

  • アリア:物語の場面を受けて、個人の祈りや心情を歌う独唱曲
  • コラール:教会の会衆が歌う賛美歌の旋律による、シンプルな4声の合唱
  • 合唱:群衆の叫びや、作品の冒頭と最後を飾る大規模な合唱

マタイ受難曲は合唱とオーケストラが2組に分かれる大編成で、ヨハネ受難曲はより劇的で緊迫した展開が特徴とされます。

行進曲・定番曲の構成

曲名(作曲者)曲の構成の特徴
ラデツキー行進曲(ヨハン・シュトラウス1世)快活なマーチ部分と穏やかなトリオからなる行進曲の典型。ウィーン・フィルのニューイヤーコンサートでは、観客の手拍子とともにアンコールの最後に演奏されるのが恒例
軍艦行進曲(瀬戸口藤吉)日本を代表する行進曲。中間部のトリオに「海行かば」の旋律が引用されている
情熱大陸(葉加瀬太郎)同名のドキュメンタリー番組のテーマ曲。もともと別々だった2つのメロディを組み合わせて作られたと紹介されている

このように、クラシックや行進曲の構成は「主題がどこで戻ってくるか」「中間部でどう雰囲気が変わるか」に注目すると聴き取りやすくなります。

人気曲の構成の特徴一覧|J-POP・アニソン

「あの曲の構成はどうなっている?」と気になる人のために、人気曲の構成で特徴的なポイントをまとめました。王道パターンとどこが違うかに注目して聴くと、曲の構成を聴き分ける練習にもなります。ここでは、楽曲の分析記事などで広く解説されている特徴を中心に取り上げています(正確な小節数や細部は公式の楽譜で確認してください)。

YOASOBI・米津玄師・King Gnuなどの曲の構成

曲名(アーティスト)構成の特徴
アイドル(YOASOBI)イントロなしでラップから始まり、間奏がない。ラップ・アイドルソング風の合いの手・ピアノ・サビとパートが目まぐるしく切り替わり、サビとラスサビで転調を重ねる
群青(YOASOBI)Aメロから歌い始め、後半にCメロを持つ。ラスサビで半音上に転調して盛り上げる
Lemon(米津玄師)イントロなしで歌から始まる。Aメロ → Bメロ → サビを2回繰り返したあと、Cメロで転調し、ラスサビへ向かう
白日(King Gnu)ピアノと歌だけの静かな歌い出しから始まり、1コーラスの中に印象的なメロディが次々に続くと解説されている
飛行艇(King Gnu)A→B→サビの形をとらず、ヴァースとサビを中心に組み立てられていると紹介されている
ホワイトノイズ(Official髭男dism)転調の多い曲が話題になりやすい中で、曲中でキーが変わらない曲として紹介されている
賜物(RADWIMPS)ラップのように早口で歌うパートがあり、転調を繰り返しながら途中でテンポが遅くなるなど、展開が多い

Mrs. GREEN APPLE(ミセス)の曲の構成

Mrs. GREEN APPLE(ミセス)の曲は、転調を使った構成の工夫がよく話題になります。

曲名構成の特徴
ケセラセラサビ始まり(頭サビ)の曲。サビが来るたびにキーが上がり、最後のサビは冒頭のサビよりかなり高くなる
ライラックCメロで3拍子と4拍子が混ざる変拍子になり、ラスサビで半音上に転調する
天国2回目のサビのあとのパートで、数小節ごとに半音ずつ転調を重ねていく構成が話題になった
クスシキラスサビで半音上に転調すると紹介されている
Soranji(ソランジ)ラスサビで半音上に転調すると解説されている
lulu.間奏から3回目のサビにかけて半音ずつキーを上げ、その後に元へ戻す転調があると解説されている

サカナクション・スピッツ・M!LKなどの曲の構成

曲名(アーティスト)構成の特徴
新宝島(サカナクション)Bメロがなく、Aメロとサビの繰り返しで進む。同じ歌詞のフレーズを何度もリフレインするのが特徴
怪獣(サカナクション)間奏がほとんどなく、山口一郎本人が4つの部分からなる構成で、最後の部分に別のサビが出てくると説明している
チェリー(スピッツ)Bメロがなく、Aメロから直接サビに入る。草野正宗が「早くサビに行きたいから」と語ったエピソードでも知られる
好きすぎて滅!(M!LK)Bメロからサビに入るところなどで2回転調し、サビで一気に景色が変わる
イイじゃん(M!LK)イントロがほぼなく歌から始まり、サビは短いフレーズを繰り返すフックに近い形だと紹介されている
Mela!(緑黄色社会)間奏のあとに2回続けて転調する。サビ以外は同じメロディがほとんど繰り返されない
マリーゴールド(あいみょん)1番はAメロを2回歌ってからBメロ・サビへ進み、最後はCメロからラスサビへ向かう構成と解説されている
天体観測(BUMP OF CHICKEN)ギターリフのイントロで始まり、後半にCメロを持つ構成と解説されている
カリスマックス(Snow Man)高速のラップとダンスブレイクを約3分に詰め込んだ曲と紹介されている
マツケンサンバII(松平健)歌が始まるまでのイントロが約1分と非常に長い。ステージでの演出に合わせた長さと言われる
タッチ(岩崎良美)ギターによる短いイントロから歌に入る、アニメ主題歌の定番の形

こうして並べると、ヒット曲でも王道パターンをそのまま使う曲は意外と少なく、サビ始まり・Bメロなし・ラスサビの転調など、どこか1〜2か所で定石を崩していることがわかります。気になる曲があれば、次の「調べ方」の章を参考に自分で構成表を作ってみましょう。

曲の構成の調べ方|聴き分けと分析のコツ

曲の構成を調べる方法は、楽譜やコード譜を見る方法と、耳で聴いて分析する方法の2つです。楽譜がなくても、いくつかのコツを押さえれば、どんな曲でも構成を調べることができます。

耳で聴いて構成を調べる手順

  1. 曲全体を通して聴き、盛り上がりの山を探す:一番盛り上がり、何度も繰り返される部分がサビです
  2. サビの前後を区切る:サビの直前で雰囲気が変わる場所がBメロの始まり、歌い出しからBメロまでがAメロです
  3. 時間をメモする:各パートが始まる時間(0:15、0:45など)を書き出します
  4. 小節を数える:ドラムのキックやスネアに合わせて「1、2、3、4」と数え、4拍を1小節として各パートの小節数を数えます
  5. 構成表にまとめる:パート名・開始時間・小節数を表にします

パートの切り替わりは、メロディだけでなく、ドラムのフィル(小節の最後の「ドコドコ」という連打)、楽器の数の増減、歌詞の内容の変化にも表れます。とくにドラムのフィルは「次のパートに入ります」という合図なので、区切りを見つける大きな手がかりになります。

構成表の書き方

調べた構成は、表にしておくとひと目でわかります。構成表の書き方に決まりはありませんが、次のようにパート・時間・小節数・メモを並べるのが一般的です。

構成表はパート・時間・小節数を並べて書く パート開始小節メモ イントロ0:008ギター Aメロ0:1616静か Bメロ0:488上昇 サビ1:0416全楽器 間奏1:368ソロ
BPM120の曲の構成表の例。開始時間と小節数を書いておくと、パートの長さの比較や練習に使える

作った構成表を好きな曲どうしで見比べると、「この曲はBメロが短い」「このアーティストはサビ始まりが多い」といった傾向が見えてきます。曲の分析は作曲の勉強として面白いだけでなく、ヒット曲がなぜすごいのかを言葉で説明できるようになる、よい練習になります。

曲の構成を調べるのに便利なアプリ・サイト・本

  • コード譜サイト・楽譜アプリ:コード譜にはパートの区切りが書かれていることが多く、構成を確認するのに便利です
  • 耳コピ支援アプリ:再生速度を落としたり、区間をループ再生したりできるアプリを使うと、パートの切り替わりや小節を数えやすくなります
  • DAW(作曲ソフト):音源を読み込み、パートごとにマーカーを付けると、波形と構成を並べて見られます。DAWについてはDAWの解説を参照してください
  • 本:作曲入門書や楽典の本には、曲の形式や構成の作り方が体系的にまとめられています

アプリの機能や料金は変わることがあるので、使う前に各サービスの公式サイトで最新の情報を確認しましょう。

構成を覚えるコツ|歌や演奏の暗記に役立てる

曲の構成を把握しておくと、歌詞や演奏の覚え方も楽になります。1曲を最初から丸暗記するのではなく、「Aメロ → Bメロ → サビが2回、Cメロのあとにラスサビ」と骨組みを先に覚え、パートごとに歌詞を覚えていくと、「2番のAメロの歌詞が出てこない」といった混乱が減ります。バンドやカラオケで「サビ前で溜める」「2番のBメロは静かに」と話し合うときも、構成の用語が共通言語になります。

曲の構成の作り方・決め方|作曲・DTMでの手順

作曲やDTMで曲を作るとき、「サビはできたけど、そのあとどうつなげればいいかわからない」という悩みはよくあります。曲の構成は、メロディを作る前に決めても、できたメロディから逆算して決めてもかまいません。ここでは初心者でも迷いにくい作り方の手順を紹介します。

曲の構成を決める5つの手順

  1. 曲の長さと用途を決める:フルサイズで4分前後か、ショート動画向けに1分以内か。用途で入れられるパートの数が決まります
  2. サビを先に作る:曲の中心になるサビのメロディと歌詞から作ると、ほかのパートの役割が決めやすくなります
  3. 構成パターンを選ぶ:最初は王道パターンを型として使い、慣れてきたらサビ始まりやBメロなしを試します
  4. パートごとの小節数を決める:4小節・8小節単位で組み、DAWのマーカーで区切っておきます
  5. パートの違いをつける:メロディの音域、コード進行、楽器の数、リズムをパートごとに変え、盛り上がりの差を作ります
曲の構成を決める5つの手順 1長さ 2サビ 3パターン 4小節数 5差をつける サビを先に作ると、ほかのパートの役割が決まる
用途と長さを決め、サビを作ってからパターン・小節数を決め、最後にパートごとの差をつける

パートごとの差のつけ方|メロディ・コード進行・編曲

構成が単調に聞こえる原因の多くは、パートごとの差が小さいことです。次のような考え方で、パートの役割をはっきりさせましょう。

パートメロディコード進行・編曲
Aメロ低め・音数少なめ楽器を絞る。ドラムはシンプルに
Bメロ少しずつ上昇コードを変え、サビ前にブレイクや溜めを入れる
サビ高め・覚えやすい反復全楽器で厚く。明るく安定したコード進行
Cメロ今までと違う音域やリズム別の調やコードで雰囲気を変える

DTMでは、先に全体の構成をDAWのマーカーやトラックの色分けで作っておき、あとから各パートを埋めていく作り方もおすすめです。曲の最後をどう終わらせるか迷ったら、サビの最後のフレーズを繰り返してフェードアウトする、イントロのフレーズに戻って締めるなど、アウトロの作り方も参考にしてください。

構成を真似するのはパクリになる?

「好きな曲と同じ構成で曲を作ったらパクリになるのでは」と心配する人もいます。王道パターンやAABA形式のような構成の型、よく使われるコード進行は、数えきれないほど多くの曲で共通して使われている「音楽の文法」のようなものです。一般に、盗作かどうかが問題になるのはメロディや歌詞そのものの類似であり、構成を参考にすること自体は作曲の勉強として広く行われています。ただし、実際にどこまでが許されるかは個別の事情で判断されるため、不安な場合は専門家に相談しましょう。

面白い構成を作るための考え方

聴く人をすごいと思わせる構成は、王道の型を知ったうえで、1〜2か所だけ予想を裏切るものです。たとえば、2番のAメロを飛ばしていきなりBメロに入る、Cメロの前に楽器のソロを長めに入れる、最後のサビを落ちサビにして静かに終わる、などです。すべてを崩すと聴き手が迷子になるので、「ここだけは定石を外す」という一点を決めるのがコツです。

Suno(音楽生成AI)で曲の構成を指定する方法

音楽生成AIのSuno(スーノ)では、歌詞の中に構成を表すタグを書くことで、曲の構成をある程度指定できます。AIに任せきりにすると、サビが短かったり、同じパートが延々と続いたりすることがあるので、構成を意識したプロンプトの書き方を覚えておくと思いどおりの曲に近づけます。Sunoそのものの使い方はSuno AIの解説、ほかの音楽生成AIは音楽生成AIの一覧を参照してください。

Sunoで使われる主な構成タグ

Sunoで歌詞を自分で入力するモード(カスタムモード)では、歌詞の各パートの前に角かっこで囲んだタグ(メタタグ)を書くのが一般的です。よく使われるタグは次のとおりです。

タグ意味(日本の呼び方)
[Intro]イントロ
[Verse]ヴァース(Aメロ)
[Pre-Chorus]プレコーラス(Bメロ)
[Chorus]コーラス(サビ)
[Bridge]ブリッジ(Cメロ)
[Instrumental] / [Break]間奏・ブレイク
[Outro] / [End]アウトロ・曲の終わり
Sunoの歌詞欄に構成タグを並べる例 [Intro][Verse]Aメロの歌詞…[Pre-Chorus]Bメロの歌詞…[Chorus]サビの歌詞…[Bridge]Cメロの歌詞…[Outro]
歌詞欄でパートの前にタグを書くと、その順番が曲の構成の目安としてAIに伝わる

構成を思いどおりにするプロンプトのコツ

  • タグは英語で書く:構成タグは英語の用語で書くのが一般的です。歌詞は日本語でもかまいません
  • 曲の雰囲気は別の欄で指定する:ジャンルやテンポ、楽器などのスタイルはスタイル欄に書き、歌詞欄のタグとは分けます
  • パートの長さは歌詞の行数で調整する:サビを長くしたければサビの歌詞を増やし、短い曲にしたければ2番を省きます
  • 思いどおりにならないときは何度か生成する:タグはあくまで指示の目安で、AIが必ず従うとは限りません

Sunoの機能やタグの効き方はアップデートで変わることがあります。最新の使い方や商用利用の条件は、Sunoの公式サイトで確認してください。

結婚式・プロフィールムービー・ライブで曲の構成を活かす

曲の構成の知識は、作曲だけでなく、曲を「使う」場面でも役立ちます。結婚式のプロフィールムービーやライブのアレンジでは、曲のどのパートでなにを見せるかを考えると、演出の完成度が大きく変わります。

プロフィールムービーは曲の構成に合わせて作る

結婚式のプロフィールムービーは、新郎の生い立ち → 新婦の生い立ち → 二人の出会いから現在、の3部構成で作るのが定番です。全体で5〜10分ほどになることが多く、パートごとに曲を変えて2〜3曲を使うのが一般的です。

写真や映像を切り替えるときは、曲のパートの区切りに合わせるのがコツです。Aメロでは幼少期などの落ち着いた写真、サビでは印象的な写真や大切な場面を合わせると、音楽と映像の盛り上がりがそろいます。1曲が長すぎる場合は、1番だけを使う、2番のAメロを飛ばしてラスサビにつなぐなど、短い構成に編集して使うこともあります。

プロフィールムービーの3部構成と曲の対応 新郎の生い立ち 新婦の生い立ち 二人の出会い 1曲目2曲目3曲目 Aメロ=幼少期Aメロ=幼少期Aメロ=出会いサビ=学生時代サビ=学生時代ラスサビ=今 写真の切り替えをパートの区切りに合わせる
ムービーの3部に1曲ずつを割り当て、Aメロで導入、サビで見せ場の写真を映すと盛り上がりがそろう

なお、結婚式場で市販の楽曲を使うときは、著作権などの手続きが必要になる場合があります。使いたい曲が使えるかどうかは、事前に式場やムービーの制作会社に確認しましょう。

ライブ・メドレーでの構成アレンジ

ライブでは、音源(CD・配信)とは違う構成で演奏されることがよくあります。代表的なライブアレンジは次のとおりです。

  • イントロを長くして、観客の手拍子やMCから自然に曲へ入る
  • 最後のサビを何度も繰り返し、観客と一緒に歌うコール&レスポンスを入れる
  • 間奏でメンバーのソロ回しや楽器紹介をする
  • アウトロを延ばして、次の曲へ切れ目なくつなぐ

複数の曲をつなぐメドレーでは、各曲のサビを中心に短く切り取り、テンポや調が近い曲どうしを並べると自然につながります。カラオケの発表会や文化祭で歌う場合も、どのパートを残すかを構成表で考えると、限られた時間でも曲の魅力を伝えやすくなります。出会いや別れ、明日への希望といった歌詞のテーマごとに曲を選び、構成をそろえてつなげるのも一つの方法です。

歌うときに曲の構成を活かすコツ

曲の構成を理解していると、歌の表現も大きく変わります。上手に聞こえる人は、1曲を同じ声・同じ音量で歌うのではなく、パートごとに歌い方を変えて曲の盛り上がりを作っています。

パートごとに歌い方を変える

パート歌い方のポイント
Aメロ音量を抑え、語りかけるように。言葉をはっきり届ける
Bメロ少しずつ声を大きく、息の量を増やしてサビへの期待を高める
サビ一番の音量と声の張りで。高音を支える息を前もって準備する
落ちサビ息を多めに混ぜた柔らかい声で、ささやくように丁寧に
ラスサビ1番のサビよりさらに感情を込める。転調があれば音程に注意
パートごとに歌の音量を変えて盛り上がりを作る AメロBメロサビ落ちサビラスサビ 音量・張りの目安 →
Aメロは抑えめ、サビで大きく、落ちサビで一度下げてラスサビで最大に。差があるほど盛り上がって聞こえる

構成を知ると息継ぎと体力配分が楽になる

曲の構成を先に把握しておくと、息継ぎの位置や体力の配分も計画できます。サビの直前やBメロの終わりで深めに息を吸う、間奏で喉を休めるなど、パートの区切りは歌う人にとって大切な準備の時間です。とくに、ラスサビで転調する曲や、サビを2回繰り返す曲では、最後まで声がもつように1番のサビで力を使いすぎないことが大切です。息継ぎのコツは歌のブレスの解説で詳しく紹介しています。

カラオケや練習で構成を意識する方法

練習では、曲を通して歌うだけでなく、苦手なパートだけを切り出して繰り返すのが効率的です。たとえば「サビの高音が出ない」なら、サビだけを何度も練習し、慣れてきたらBメロからつなげて歌ってみます。パートのつなぎ目で音程やリズムが崩れる人は多いので、Bメロからサビへの切り替わりを重点的に練習しましょう。

自分の歌を録音して、パートごとに音量や声の表情に差がついているかを聴き直すのもおすすめです。「全部同じに聞こえる」と感じたら、Aメロをもっと抑えるところから始めてみてください。曲の表現を一段上げたい人は、ボイストレーニングで声の強弱のコントロールを身につけるのが近道です。

よくある質問

Aメロ・Bメロ・サビは英語で何と言いますか?
一般的に、Aメロはヴァース(Verse)、Bメロはプレコーラス(Pre-Chorus)、サビはコーラス(Chorus)、Cメロはブリッジ(Bridge)と呼ばれます。イントロ(Intro)とアウトロ(Outro)は英語でもほぼ同じ呼び方です。
Cメロと大サビの違いは何ですか?
Cメロは2番のサビのあとに一度だけ出てくる、それまでと違うメロディのパートです。大サビは曲の最後に来るサビ(ラスサビ)のことを指すのが一般的ですが、人によってはCメロを大サビと呼ぶこともあるため、会話では前後の文脈で確認しましょう。
1曲はだいたい何小節ですか?
ポップスの場合、100〜130小節前後になることが多いです。BPM120の4分の4拍子なら1小節が2秒なので、120小節で約4分になります。
曲の構成はどのパターンを選べばいいですか?
作曲に慣れていないうちは、イントロ → Aメロ → Bメロ → サビを2回繰り返し、Cメロとラスサビで締める王道パターンがおすすめです。慣れてきたら、サビ始まりやBメロなしなどで変化をつけてみましょう。
サビ始まりの曲にはどんな効果がありますか?
最初の数秒で曲の一番印象的な部分を聴かせられるため、聴き手の心を早くつかめます。配信やショート動画で最初の数秒が重視される今、サビ始まりの曲は増えていると言われます。

まとめ

曲の構成とは、イントロ・Aメロ・Bメロ・サビ・Cメロ・アウトロなどのパートを並べた曲の設計図です。この記事のポイントを振り返ります。

  • 曲の構成は「反復」と「対比」で作られ、各パートに盛り上がりの役割がある
  • Aメロ=ヴァース、Bメロ=プレコーラス、サビ=コーラス、Cメロ=ブリッジが英語での一般的な呼び方
  • J-POPの王道は「1番 → 2番 → Cメロ → ラスサビ」。サビ始まり・Bメロなしなどのパターンで変化をつける
  • パートは4小節・8小節単位が基本で、1曲はおよそ100〜130小節
  • 洋楽はヴァース・コーラス形式やAABA形式、EDMはビルドアップとドロップ、クラシックは三部形式やソナタ形式など、ジャンルで構成の考え方が違う
  • 構成は耳で区切りを探して構成表にまとめると調べられ、作曲ではサビを先に作ると決めやすい

曲の構成がわかると、歌うときにもパートごとの表情のつけ方や息継ぎの位置が見えてきます。「サビだけ声が出ない」「曲全体が一本調子になる」と感じたら、プロのボイストレーナーに見てもらうのが上達の近道です。全国のボイストレーニング教室から、通いやすい教室を探して体験レッスンを受けてみましょう。